平成24年12月号院内報

平成24年12月号院内報

=第185号 平成24年12月号=

気管支喘息について ~平成24年11月号の続き~

3.気管支喘息の治療  

1)喘息発作薬  気管支喘息発作はアレルギー性の気管支炎に伴う気管支の収縮によりますので速効性のある気管支拡張薬、抗炎症作用のある薬を用います。  

①β2‐刺激薬(短時間作用型)

主に吸入薬で携帯用の吸入器(メプチンなど)で1~2回の吸入やネブライザーの液(ベネトリンなど)を反復吸入します。一回使用して効果が十分でなければ、20分後にもう一度行い、それ以降は、一時間以上おいて使用します。頻回に使用すると心臓の刺激作用が強くでてくることがあります。

②テオフィリン薬

テオフィリン(アミノフィリン)を点滴静注で使用します。過剰に投与すると心臓刺激作用があり、主に点滴でゆっくりと投与していきます。

③ステロイド薬

ステロイド薬は点滴や静脈注射で、約30分後位より強力な気管支拡張効果が発揮されます。

④その他

点滴による水分の補強は気道の乾燥を防ぎ有用です。また、喘息発作が強く酸素不足の場合は酸素吸入により、症状が緩和されます。血中の酸素濃度が正常化するまで続けます。

 

2)長期管理薬  気道の症状をコントロールすることにより、喘息発作の回数や症状を下げるため、主に抗炎症薬、抗アレルギー薬を使用します。

①吸入ステロイド薬

世界において軽症から重症のすべての小児から成人の気管支喘息の人の長期管理薬として第1選択の薬です。

フルタイド、パルミコート、キュバールなどですが携帯用の吸入やネプライザーを用います。いずれも気道にのみ効果を発揮しほとんど体内に吸収されませんので、長期的に使用してもステロイド薬の全身投与に伴うさまざまな副作用はほとんど出てきませんが、まれに気道のカンジタというかびが増えることがあります。吸入ステロイド薬を使用しても尚喘息症状が残る場合は、少量のステロイド薬の内服を併用します。

②クロモリン(吸入)

クロモリン(インタールなど)の定期的な吸入は、気道の抗アレルギー性に有効です(特に小児)。また、前に述べましたように運動誘発喘息の予防としても有効です。

③抗ロイコトリエン受容体桔抗薬

抗アレルギー薬の一つですが、アレルギー性症状を抑えて長期のコントロールに有効とされています。世界で最も多く使用されている抗アレルギー薬です。

④その他の抗アレルギー薬

アレギサール、IPDなども特に小児で有効とされます。

⑤抗IgE抗体

中等症から重症のアレルギー性気管支喘息で血中のIgEやIgE抗体が高い人には、最近IgEに対する抗体が薬(皮下注射)として使用可能となり、一定の有効性を発揮しています。

⑥減感作療法

家のほこり、スギなどアレルギーの原因が明確な場合、少量のほこりのエキスやスギ花粉のエキスを定期的に皮下注射していくことで、アレルギー性の減弱や消失がおこり、現在唯一の根治療法となっています。現在皮下注射の他に舌下や経口の減感作が開発中です。

=以下次号=

平成24年11月 浦田 誓夫