H27年5月号 院内報 天衣無縫

H27年5月号 院内報 天衣無縫

=第214号 平成27年5月=

関節リウマチについて

1.関節リウマチとは 関節リウマチは、全身の関節に炎症がおこり、放置すると関節の破壊が進行し変形して関節の機能が失われ寝たきりとなる深刻な病気です。原因は関節の内腔をうら打ちしている滑膜の炎症がもとで周囲の軟骨や骨の炎症と破壊がおこることにあります。その炎症は自己免疫反応によりおこるとされます。

本来自分の体はウイルスや細菌などの異物が侵入してくると免疫反応と呼ばれる異物に特異的な炎症反応がおこり、自分の体から異物を排除して体を守っていますが、自己免疫反応は自分の体の一部や成分が何故か異物とみなされ免疫反応がおこり、破壊排除しようとします。

関節リウマチはこのような自己免疫疾患の代表的な疾患ですが、最近遺伝子解析にてリウマチを発症しやすい遺伝子型が明らかになりつつあり、ほとんどのリウマチの人は遺伝子の型で規定されており生まれた時からリウマチを発症する可能性がある、すなわちリウマチの体質であることがわかってきています。

さらに体質に加え、喫煙や歯周病が生活習慣や環境の影響として加わり、リウマチが発症すると考えられるようになりました。なぜ関節の滑膜に対してこのような自己免疫反応をおこすのかはわかっていません。我が国の関節リウマチの患者さんは約60万人といわれ、40~60歳代の女性が最もかかりやすい(男女比3:7)と報告されています。

2.関節チウマチの診断

全身の関節炎がおこりますが、特にリウマチでは手や足の指の2番目と3番目の関節や手首の関節炎がおきやすく、肘、腰、肩、足首、股関節は比較的少ない傾向があります。これらの関節炎が6週間以上続き、関節のレントゲンで関節や周囲の骨の変形が認められ、さらに血液検査でRAHAテストや抗CCP抗体が陽性となることでリウマチの診断がされます。また関節リウマチは関節炎以外に、肺線維症が10%に他には貧血、口の乾燥(だ液腺の炎症)や全身の血管炎や二次性のアミロイドーシスによる腎障害が合併する場合があります。

3.関節リウマチの治療

関節リウマチは放置すると寝たきりに至る深刻な疾患ですが、この20年間特にこの数年間で新しい作用機序の治療薬が開発、使用されて、関節破壊の進行が食い止められるすなわち自己免疫反応を抑えることができるようになりました。

現在は、リウマチの治療薬の第一選択は抗リウマチの薬と呼ばれる免疫調整薬で、中でもメトトレキセートが極めて有効です。ただ即効性がないのでその間鎮痛薬やステロイド薬を併用します。約60%の人にはこれで有効ですがメトトレキセートで効かない場合、最近創薬された分子標的薬(TNFα、IL-6、JAK結抗薬やT細胞共刺激調整薬)が有効で、根治することも夢ではない時代になってきました。

ただ、抗リウマチ薬や分子標的薬は免疫調整あるいは抑制薬ですので特に特に感染症の合併に注意を払う必要があります。

浦田医院 浦田 誓夫