H30.6月 院内報 天衣無縫

便 秘
 
食物は口から入り、便となって肛門より出てくるまで、胃で約2時間、小腸で約4時間、大腸で約1日を要して通過していきます。

特に大腸では一日かけて通過する間に大部分の水分が吸収されて、約10%の水分を含んだ状態で普通の便ができあがります。

便の消化管の移動は消化管の蠕動というみみずのような動きで行われ直腸に便が入ってくると自律神経反射により便意を感じ反射的に直腸の収縮がおこり、それに自らの意思で腹筋に力を入れて腹圧をかけて排便が行われます。

Ⅰ.便秘
A原因
便秘とは排便回数や量が少なくて、排便に困難や不快を感じる状態をいいます。おおむね便は硬くなることが多いですが時に軟らかい場合もあります。また毎日排便があっても兎の糞のように硬く、少量の場合もあります。

大きく4つの原因に分かれます。

1)機能性便秘
①結腸通過時間遅延症
大腸での通過時間が長くなり、その間水分の吸収が多くなり便が硬くなってきます。お年寄りややせ型の女性、運動不足、長期臥床、野菜などの食物繊維の不足の人に起こります。

②結腸通過時間正常型
直腸手前の左側結腸の緊張が強いためここだけ便の通過が遅れてしまいます。左側の腹痛を伴ったり最初は兎の糞の様で後から軟便となりがちです。また排便後もすっきりせず残便感があったり少量の便意がゆるゆる出てきがちです。

③排出障害型(直腸型便秘)
直腸に入っても便が出にくい状態で、直腸脱や直腸瘤などの変化や、便意を我慢する習慣を続けた人に多いです。

2)器質性便秘
大腸の癌や炎症、腹腔内の腫瘍による圧迫、腸管壁の神経障害(腸閉塞など)などでおこります。

3)全身の疾患や生活習慣による便秘
全身疾患としては
全身衰弱、神経疾患(脳卒中、パーキンソン病、精神病)、糖尿病、甲状腺機能低下症、妊娠、電解質異常、脱水や肝硬変などがあります。

生活習慣としては
加齢、運動不足(歩行、腹のマッサージなど)食事の不規則(一日3食特に朝食はとるようにこころがけることが大切です)、摂食不十分、食物繊維不足、暖房や厚着のしすぎなどがあります。乳酸菌などのよい腸内環境を含む食材(ヨーグルト、チーズ、味噌、漬物など)を多くとる、便意がなくても同じ時間にトイレに座り息んでみることをくり返すと自律神経のリズムが整い俳便反射の回復が期待できます。

4)薬剤性便秘
下痢止め、胃腸薬(抗コリン薬、制酸剤)抗パーキンソン病薬、鎮痛薬や向精神薬などでは便秘になりがちです。

B治療
生活習慣を整えても便秘が治らない場合は下剤を使用します。

1)浸透圧性下剤
腸管内の浸透圧を高めて腸管からの水の分泌を高めて便の水分量を高める作用があります。塩類下剤のマグミット、酸化マグネシウムが代表的で通常第一選択です。他に糖類下剤のDーソルビトールなどがあります。

2)膨張性下剤
腸管からの水分の吸収を抑えて、便の水分量を高めます。ポリフルが代表的ですが過敏性腸症候群の便秘型が適応です。

3)刺激性下剤
大腸の収縮を促進する作用があります。センナ(アローゼン)センノシド(プルゼニド)、アロエ、大葉、ラキソベロンなどが代表的でまたよく用いられる下剤ですが習慣性が出て、効きにくくなってくる場合があります。

4)粘膜上皮機能変容薬
最近、腸管の粘膜の上皮から腸管内へ
の水分泌を高める作用のある薬がでてきました。アミティーザ、リンゼスなどがありますがいずれも便秘型の過敏性腸症候群が適用です。

5)坐剤~即効性があり症状が強い時のよい適応です。
➀レシカルボン座薬・・腸管内で炭酸ガスを発生し腸の蠕動運動を刺激して排便します。
➁テレミンソフト・・・結腸直腸の蠕動刺激作用があります。
③グリセリン浣腸・・・便の水分量が増加し、便のすべりやすさが増し、また腸の蠕動運動を高めます。