H24年1月天衣無縫

H24年1月天衣無縫

=第174号 平成24年1月=

新年明けまして おめでとうございます

昨年は国の内外を問わず自然の大災害が起こり、政治や経済も低迷し不安定な社会情勢が続きました。

とりわけ日本は3月の東日本大震災及びそれに伴う福島第一原発事故が起こり、多数の方々が亡くなられ、また復旧・復興は端緒についたばかりの状態です。

復旧・復興には長い年月を要し、また土壌や食料の放射線汚染、莫大な廃棄物の処理や電力の減少など影響は全国に広がっており、とりわけ原発事故は収束まで30~50年にも及ぶと報道され、これまでの災害とは次元の異なる様相を呈しています。

これらの出来事で人は自然から生まれ、自然と共に生き、自然に還っていくものだと改めて感じました。

長い道のりではありますが、新年にあたり心を新たにして苦しい時こそ一人一人が最善を尽くして、良く生き良き社会を造って行きたいものだと思います。

また本年の4月から医療や介護保険制度が同時に改訂される予定ですが、現在の所未だに定まっておりません。

より公正でより良い制度になる事を願っています。

本年もよろしくお願いいたします。

如春会 浦田医院院長 浦田 誓夫

大腸の主な病気について ~平成23年12月号の続き~

2.大腸の特別な炎症

小腸・大腸を含めて、ウイルス(ロタウイルスやノロウイルスなど)や細菌性(大腸菌・サルモネラ菌、赤痢菌など)の腸炎が殆どですが、中に感染以外の原因で起こる腸炎を述べます。

≪A.潰瘍性大腸炎≫

若年者と高齢者に二極化して発症し、大腸に対する何らかのアレルギー性炎症(自己免疫疾患)で発症すると考えられていますが、未だに原因が不明で難病に指定されています。

10万人に約2人が罹り、直腸に最も起こり易く次第に炎症は直腸から胃に向かって大腸に拡大していき、潰瘍やポリープを伴う炎症が起きます。

また、大腸癌の合併が多く継続的な検査と抗炎症薬、ステロイド薬や免疫抑制薬による治療が必要です。

≪B.クローン病≫

潰瘍性大腸炎と同様に大腸に対する自己免疫(自分の体の一部なのに異物と見なしてアレルギー反応を起こす)疾患と考えられています。

若年の人に多く発症し、約10万人に1人の方が罹ります。

そして、潰瘍性大腸炎とともにクローン病も次第に増加する傾向にあります。

クローン病はこの病気を発見したCrohn医師の名前を冠した病名ですが、主に盲腸に炎症による肉芽腫という腫瘤が出来てきます。肉芽腫は大腸の壁深くできるので大腸が破れやすく、手術がしばしば必要になります。

またこの肉芽腫は大腸のみならず、胃や十二指腸などの他の消化管にも発症する場合があり、治療も日本ではまず栄養療法(大腸に負荷をかけない低残渣の食物)が主で、免疫抑制薬を追加的に使用する必要があります。

最近、潰瘍性大腸炎とともにクローン病も有用な免疫抑制薬が開発され、少しずつ治療が向上しつつあります。

≪C.虚血性腸炎≫

突然起こる血便で最も多い病気です。

中年~高年の女性に比較的多いですが、男性にも起こります。

原因は大腸の血液循環が低下する為に血管が破れ出血をおこしてきますので動脈硬化それと関連する糖尿病・高血圧・心臓病・腎臓病や以前に腹部の手術を受けた人に多く起こり、またそれに加えて便秘や下痢など大腸の粘膜に腹圧がかかったり炎症を起こしてくる場合に起こります。

出血は多くは大腸の肛門よりに発生しますので便に血液が混じったり血液そのものが肛門から出てきてどきっとしますが、多くは1~2週間の輸液や大腸の安静で 血液循環を保てば軽快していきます。約10%の人に再発します。

平成23年12月 浦田 誓夫

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お酒との上手な付き合い方

年末・年始はお酒を飲む機会が多くなる時期です。

『お酒との上手な付き合い方』を知り楽しくお酒を飲みましょう!!

かしこいお酒の飲み方

◎食べながら飲む   胃の粘膜の上に食物が層を作るので胃を荒らさずに済み、アルコールの吸収を抑えます。

◎おつまみをひと工夫   アルコールによってミネラルも失われやすくなるので高たんぱく質でミネラルが豊富な食品を摂りましょう。塩分の多い食品は避けましょう。

※アルコール自体はカロリーが高いので、乳製品等の組み合   わせによっては要注意!!

◎二日酔いになってしまったら・・・

●アルコールの排出

・水分を多めに摂り汗や尿を多く出す。(ミネラル補充の為にもスポーツドリンクがお勧め)

・ぬるめの烏龍茶や紅茶で発汗を促す。

●飲食後の低血糖状態を改善

・お粥やお茶漬けなどの油分のない炭水化物を取る。

・羊羹やチョコレートを一切れ食べる。  

肝臓は『沈黙の臓器』と呼ばれ症状が現れにくいという特徴があります。自覚症状がないまま病気が進行していることが多くあり、気付いた時には重症になっていることも・・・ お酒の飲みすぎが気になる方は一度健康診断を受けてみましょう。

参考文献 健康情報.jp

文 責  野口 佐代子