令和元年6月 院内報 天衣無縫

天 衣 無 縫 =第2号 令和元年6月号= 梅雨とかび(真菌)  いよいよ梅雨の季節になり、むし暑い日々が訪れました。大雨による災害は避けたい所ですが、またこのような高温多湿の気候の下では家の中でかび(真菌)が繁殖しやすくなります。かびはこうじのようにみそ、しょうゆ、納豆や酒などの発酵にかかせない生き物で、またペニシリンという世界最初の抗生物質として発見された抗菌薬の成分も造り出しており、人類はかびをうまく利用してきましたが、一方かびはさまざまな病気の原因ともなります。 かび(真菌)による病気は大きく分けて皮膚や粘膜(口腔、食道、膣など)で繁殖する浅在性真菌症と体内の内臓(特に肺や脳)で繁殖し…

令和元年 5月 おしゃべり通信 

おしゃべり通信 No.234 H31.5.15発行  如春会 浦田医院 ~H29年4月発行 日本小児科医会会報特集~ スマホパンデミック!⑪ <スマホ社会の落とし穴> 2.「劣化」の実相 -⑤ (4) 生活の乱れ・睡眠時間の短縮化     子供の就床時間は年々短くなっています。下図は小学生の生活リズムを書いたものですが、一日に必要な生活時間の構成は、学校制度が開始される前からそう多くは変わっていませんが、全国民の教育が義務教育化されると、学校という集団に所属する為の社会適応が当たり前に始まって、学校制度に適応するための時間(=家庭学習・学校へ行くための準備)がその中に入ってきます。  一般家庭…

令和元年5月 院内報 天衣無縫

天 衣 無 縫 =第1号 令和元年5月号= 大腸の悪性腫瘍について 悪性腫瘍とは無秩序で無限の増殖能を持つ細胞により正常の細胞組織が破壊され、放置すると死に至る病気です。大腸の悪性腫瘍は99%以上が癌で、そのほか稀に悪性リンパ腫や肉腫がみられます。大腸がんは日本ではこの30年間で約5倍に増加しており、男性では肺癌、胃癌に次いで3番目、女性では癌の中で1番多くなっています。  大腸癌が増えた理由として、生活スタイルの変化が関わっているとされます。大腸癌の危険因子として最も高いのはアルコールで、次いで加工肉(ハム・ベーコン・ソーセージ等)・赤みの肉・肥満・糖尿病・喫煙(直腸癌)などが知られ、逆に予…

H30.8 院内報 天衣無縫

=第253号平成30年8月号= 高尿酸血症・痛風 1.高尿酸血症とは わが国では近年、血液中の尿酸という物質が増えてきていることが報告されています。男性と女性で差がありますが、その頻度は男性で約30%、女性で2~3%です。尿酸は核酸(プリン体)という遺伝子の素材として必要な栄養素の体内での分解産物で、多くは腎臓や一部消化管から排泄されています。血液中の尿酸が7mg/100ml以上、特に8mg/100mlを超えると血液中の尿酸が結晶化し、体内の組織に沈着して炎症を起こしてきます。特に関節に沈着すると痛風という激烈な痛みを伴う関節炎が発症してきます。痛風とは、風があたっても痛みを発すると言われるほ…

H30.7 院内報  天衣無縫

=第252号平成30年7月号= 下 痢  体の中の水分は、口から入り胃腸を流れていく間に、非常に多くの出し入れがあり、まず、口から1日に約2ℓの水分をとると胃腸からの吸収が約9ℓ/日。逆流胃腸からの分泌が約7ℓ/日にもなり、便として約100mℓ~200mℓ/日の水分が排泄されます。従って下痢は胃腸からの水分の吸収が減っておこる(吸収不良性下痢、浸透圧性下痢)か、胃腸からの水分分泌が過剰になりおこります(分泌性下痢、滲出性下痢)。 Ⅰ.吸収不良性下痢、浸透圧性下痢  冷たい飲物やアルコールのとりすぎ、強いストレスなどにより腸壁の蠕動が刺激されやすくなります。また、慢性の腸炎や手術で腸を切除し腸が…

H30.6月 院内報 天衣無縫

便 秘 食物は口から入り、便となって肛門より出てくるまで、胃で約2時間、小腸で約4時間、大腸で約1日を要して通過していきます。 特に大腸では一日かけて通過する間に大部分の水分が吸収されて、約10%の水分を含んだ状態で普通の便ができあがります。 便の消化管の移動は消化管の蠕動というみみずのような動きで行われ直腸に便が入ってくると自律神経反射により便意を感じ反射的に直腸の収縮がおこり、それに自らの意思で腹筋に力を入れて腹圧をかけて排便が行われます。 Ⅰ.便秘A原因便秘とは排便回数や量が少なくて、排便に困難や不快を感じる状態をいいます。おおむね便は硬くなることが多いですが時に軟らかい場合もあります。…

H30.5月 院内報 天衣無縫

=第250号平成30年5月号= 肺癌について  わが国では、肺癌で亡くなられる人々は毎年増え続け現在7万人を超え、胃癌を抜いて癌による死亡の第一位となっています。 肺癌は癌の中でも発見時進行していることが多く、肺癌が治る割合は約30%で癌の中でも治りにくいとされています。 しかし近年肺癌の治療も進歩してきており、治る割合が少しずつ増えてきています。 Ⅰ.肺癌の診断の進歩 わが国の肺癌は喫煙者の低下に伴い扁平上皮癌は減ってきましたが、腺癌という型が増えてきてX線などの画像で診断できる割合が増えてきています。ですからまず、年に1回の健康診断(市町村での癌健診)で胸部X線を撮ることが基本です。日本で…

H30.4月 院内報 天衣無縫

=第249号平成30年4月号= ~花粉症について~   わが国では人口の約60%の人が何らかのアレルギー体質を持っており、中でもスギ花粉症は約40%、キク科(セイタカアワダチソウ、ブタクサ、ヨモギなど)花粉症は約20%の人がかかわっており、国民病といってもおかしくない状態です。 このようなアレルギー性疾患の増加は戦後から著しくなり、工業の発展、自動車の普及に伴う大気汚染や魚、野菜から肉食中心の食事への変化や衛生状態がよくなり寄生虫などの感染症が減少してしまったこと(衛生仮説)と関連があるとされています。 また以前は40歳台を中心とした成人が多かったのですが最近は10歳台やそれ以下の子供達が増え…

H30.2月.3月号 院内報 天衣無縫 

=第247号平成30年2.3月号= インフルエンザについて  本年1月下旬の段階で熊本県におけるインフルエンザの流行は拡大し、警戒レベルに達しています。 最近のインフルエンザの知見について述べます。 1 インフルエンザの症状 インフルエンザは突然の発熱が先行し、鼻汁、咳、頭痛、関節や筋肉痛が伴い、普通の感冒と比べて全身症状の強い感染症です。伝染は主に飛沫感染ですが、空気感染もあるとされており、伝染力は他の感冒のウイルスと比べて強力で発症後から治った後も一定期間の隔離(発症した翌日から5日間あるいは解熱した日から2日間(幼児では3日間))が必要です。 インフルエンザの発症は38℃以上が原則ですが…

H27年5月号 院内報 天衣無縫

=第214号 平成27年5月= 関節リウマチについて 1.関節リウマチとは 関節リウマチは、全身の関節に炎症がおこり、放置すると関節の破壊が進行し変形して関節の機能が失われ寝たきりとなる深刻な病気です。原因は関節の内腔をうら打ちしている滑膜の炎症がもとで周囲の軟骨や骨の炎症と破壊がおこることにあります。その炎症は自己免疫反応によりおこるとされます。 本来自分の体はウイルスや細菌などの異物が侵入してくると免疫反応と呼ばれる異物に特異的な炎症反応がおこり、自分の体から異物を排除して体を守っていますが、自己免疫反応は自分の体の一部や成分が何故か異物とみなされ免疫反応がおこり、破壊排除しようとします。…