H30.5月 院内報 天衣無縫

=第250号平成30年5月号= 肺癌について  わが国では、肺癌で亡くなられる人々は毎年増え続け現在7万人を超え、胃癌を抜いて癌による死亡の第一位となっています。 肺癌は癌の中でも発見時進行していることが多く、肺癌が治る割合は約30%で癌の中でも治りにくいとされています。 しかし近年肺癌の治療も進歩してきており、治る割合が少しずつ増えてきています。 Ⅰ.肺癌の診断の進歩 わが国の肺癌は喫煙者の低下に伴い扁平上皮癌は減ってきましたが、腺癌という型が増えてきてX線などの画像で診断できる割合が増えてきています。ですからまず、年に1回の健康診断(市町村での癌健診)で胸部X線を撮ることが基本です。日本で…

H30.4月 院内報 天衣無縫

=第249号平成30年4月号= ~花粉症について~   わが国では人口の約60%の人が何らかのアレルギー体質を持っており、中でもスギ花粉症は約40%、キク科(セイタカアワダチソウ、ブタクサ、ヨモギなど)花粉症は約20%の人がかかわっており、国民病といってもおかしくない状態です。 このようなアレルギー性疾患の増加は戦後から著しくなり、工業の発展、自動車の普及に伴う大気汚染や魚、野菜から肉食中心の食事への変化や衛生状態がよくなり寄生虫などの感染症が減少してしまったこと(衛生仮説)と関連があるとされています。 また以前は40歳台を中心とした成人が多かったのですが最近は10歳台やそれ以下の子供達が増え…

H30.2月.3月号 院内報 天衣無縫 

=第247号平成30年2.3月号= インフルエンザについて  本年1月下旬の段階で熊本県におけるインフルエンザの流行は拡大し、警戒レベルに達しています。 最近のインフルエンザの知見について述べます。 1 インフルエンザの症状 インフルエンザは突然の発熱が先行し、鼻汁、咳、頭痛、関節や筋肉痛が伴い、普通の感冒と比べて全身症状の強い感染症です。伝染は主に飛沫感染ですが、空気感染もあるとされており、伝染力は他の感冒のウイルスと比べて強力で発症後から治った後も一定期間の隔離(発症した翌日から5日間あるいは解熱した日から2日間(幼児では3日間))が必要です。 インフルエンザの発症は38℃以上が原則ですが…

H27年5月号 院内報 天衣無縫

=第214号 平成27年5月= 関節リウマチについて 1.関節リウマチとは 関節リウマチは、全身の関節に炎症がおこり、放置すると関節の破壊が進行し変形して関節の機能が失われ寝たきりとなる深刻な病気です。原因は関節の内腔をうら打ちしている滑膜の炎症がもとで周囲の軟骨や骨の炎症と破壊がおこることにあります。その炎症は自己免疫反応によりおこるとされます。 本来自分の体はウイルスや細菌などの異物が侵入してくると免疫反応と呼ばれる異物に特異的な炎症反応がおこり、自分の体から異物を排除して体を守っていますが、自己免疫反応は自分の体の一部や成分が何故か異物とみなされ免疫反応がおこり、破壊排除しようとします。…

平成25年4月号 院内報 天衣無縫

=第189号 平成25年4月号= 認知症について 日本は世界一の高齢化社会で、現在65才以上の人は人口の約22%を占め、今後も高齢化は増していくと推定されています。高齢化に伴い認知症の人も増加しており、現在約220万人で65才以上の約10%となっています。 認知症は年齢が最も大きな危険因子とされ、寿命がのびるに伴い、癌や動脈硬化症(心筋梗塞、脳卒中など)と同じように認知症が増加することは現在ではある程度さけられないといえます。 1.認知症の症状について 認知症は記憶の低下と認知機能の低下を中核症状として、それに伴う行動や心理的な周辺症状がおきてくる病気です。 1)中核症状 a)記憶力の低下  …

平成25年3月号 院内報 天衣無縫

=第188号 平成25年3月号= 慢性閉塞性肺疾患(COPD)について  従来、慢性気管支炎と肺気腫と分けて考えられていた二つの病気が、病変が起きる場所が少し異なるだけで、原因は同じなので、まとめて呼ばれるようになりました。 気道に炎症が起こり、少しずつ狭まって息苦しくなり、咳や痰が増え、肺胞(気道の一番深いところ・酸素と炭酸ガスを交換する部位)が拡がったり、破壊されてしまいます。 同じ様に気道の炎症で気道が狭くなる病気に、“気管支喘息”がありますが、気管支喘息は気道の炎症の原因が主にアレルギーで、そのアレルギー性炎症を治して、気道の狭まりを改善することができる点が、COPDと違っています。 …

平成25年2月号 院内報 天衣無縫

=第187号 平成25年2月号= スギ・ヒノキ花粉症   スギ・ヒノキ花粉症とは、スギやヒノキの花粉が鼻の粘膜、眼、あるいは皮膚や気道の沈着によっておこるアレルギー性疾患です。 日本の国土の約70%は森林でそのうち人工林が約40%を占め、人工林の大半はスギとヒノキで、スギは全森林面積の約18%、ヒノキは約10%を占めています。 またスギは全国的に植林が進んでいますが、ヒノキは主に西日本において植林されており熊本県は全国でも有数のヒノキの植林地です。植林は特に戦後に多く行われ、樹木の樹齢が進み花粉の産生量も次第に増しこの10年間で花粉の飛散の量は約2,4倍と増えています。 従ってスギ・ヒノキ花粉…

H25年1月号 おしゃべり通信

子どもに『逆効果』になる叱り方!? 人を叱る事はすごくエネルギーのいる事です。 でも我が子が危険な事をしたり、あるいはひとを傷つける行為に及んだりする場合には、親としては“毅然とした態度”で叱らなければなりません。 一方「どうして言う事を聞いてくれないのだろう・・・」という悩みも出てきます。 今回、「逆効果」になる叱り方4パターンを紹介していきます。 1.真剣に叱っていない 始終ガミガミ言っているのに、子どもの言動や態度がちっとも改善されない事はありませんか? 自分では「いつも真剣」と思っているけど、ただ怒鳴って怒りの感情をぶつけているだけになってはいませんか? 普段は優しく接し、ここぞという…

平成25年1月号 院内報 天衣無縫

=第186号 平成25年1月号=  ここに平成25年が新しく始まりました。 昨年は、私どもの家族の不幸の為、多くの皆様にお世話になり謹んで感謝申し上げます。 平成24年は、医療保険と介護保険の同時改訂がありましたが、これらの保険を含めわが国の社会保障は緊縮の方向に向かい、経済の低下、政治の混迷はますます強まってきました。 そして、今なお東北大震災の影響が原発事故も含めて、全国に及んでいます。 しかし、医学、医療は京都大学の竹中伸哉教授がノーベル生理学・医学賞を授賞されたように、一歩ずつではありますが前進しております。 本年をぜひ日本の回復の始まりとして、医学、医療がさらなる進歩をとげ、難しい病…

H24年12月号 おしゃべり通信

眠れない~  安眠対策法 寒さで眠れなくて困ってしまう時はありますか? そんな時は家族皆でストレッチをして体を温めてみましょう。 ◎就寝15分前のあったかストレッチ◎  リラックスして体温をじわりと上げることでストレッチ後ベッドにつけば、やや上がった体温が今度は下がっていき、睡眠モードに入りやすくなります。寝る前に行う為、テレビ等を消し照明も暗めで行いましょう。 (院内に掲示) リラックスできるよう無理やり身体を曲げ伸ばしせずゆっくり行っていきましょう。 参考文献:眠れない時の安眠対策サイト内記事  文責:松山弥生 今年もあとわずかとなりました インフルエンザ予防接種は済みましたか? 早めの予…