令和元年6月 院内報 天衣無縫

天 衣 無 縫
=第2号 令和元年6月号=
梅雨とかび(真菌)

 いよいよ梅雨の季節になり、むし暑い日々が訪れました。大雨による災害は避けたい所ですが、またこのような高温多湿の気候の下では家の中でかび(真菌)が繁殖しやすくなります。かびはこうじのようにみそ、しょうゆ、納豆や酒などの発酵にかかせない生き物で、またペニシリンという世界最初の抗生物質として発見された抗菌薬の成分も造り出しており、人類はかびをうまく利用してきましたが、一方かびはさまざまな病気の原因ともなります。

かび(真菌)による病気は大きく分けて皮膚や粘膜(口腔、食道、膣など)で繁殖する浅在性真菌症と体内の内臓(特に肺や脳)で繁殖し重篤となりがちな深在性真菌症があります。
浅在真菌症にはいわゆる水虫(白癬)、口腔、食道、膣カンジダ症などがあり、通常局所の外用処置で治療されます。爪白癬症も最近では多く外用の液で治癒が可能となってきました。
一方深在真菌症には四大真菌症と言われるアスペルギルス、カンジダ、クリプトコッカス、ムーコル菌が代表的です。これらの真菌は高齢、抗癌剤の投与、副腎皮質ステロイドの投与、糖尿病、血液疾患、エイズなど免疫能力が低下した状態でかかりやすくなり、時にこのような感染による体の組織の破壊とは異なりかびの胞子へのアレルギー反応で、気管支喘息(アレルギー性気管支肺炎アスペルギルス症)や過敏性肺炎(夏型、トリコスポロン)をおこす場合があります。
治療は組織を破壊する感染性の場合はリスクとなる免疫抑制をできるだけ改善すること、室内を清掃し、かびが生えないようにすること、ほこりっぽい所はさけることが最も基本で、発症した場合は早期に診断し適切な抗真菌薬の投与が必要となります。
 診断のためには真菌の培養や同定が必要で時間がかかりますが、最近は血液検査による真菌のバイオマーカーが測定できるようになり早期診断が可能となってきました。アレルギー性の疾患の場合は環境をクリーンにすることはもとより、副腎皮質ステロイド薬の吸入や全身投与が必要となります。
梅雨の間は掃除をこまめにされて、室の湿気をできるだけ下げるようにして予防してください
 

                                        浦田医院 浦田誓夫