平成25年4月号 院内報 天衣無縫

=第189号 平成25年4月号=

認知症について

日本は世界一の高齢化社会で、現在65才以上の人は人口の約22%を占め、今後も高齢化は増していくと推定されています。高齢化に伴い認知症の人も増加しており、現在約220万人で65才以上の約10%となっています。

認知症は年齢が最も大きな危険因子とされ、寿命がのびるに伴い、癌や動脈硬化症(心筋梗塞、脳卒中など)と同じように認知症が増加することは現在ではある程度さけられないといえます。

1.認知症の症状について

認知症は記憶の低下と認知機能の低下を中核症状として、それに伴う行動や心理的な周辺症状がおきてくる病気です。

1)中核症状

a)記憶力の低下  まず、最近の短期的な記憶の低下や記憶はあっても喉まで出かかって思い出せない記憶力の低下が早く出現してきます。しかしこの段階では正常な老化に伴う物忘れとの区別は難しく、次第に進むと以前の記憶も失われていきます。

b)認知機能の低下  普段慣れ親しんでいる人(家族、友人、知人)、物や場所などがわからなくなってくる失認、歩き方や手の使い方がぎこちなくなり、服を着たり家事が出来なくなったりする失行とことば(一つの文字、一つの単語や簡単な文章)がでにくくなったり、言葉の意味がわからなくなってくる失語がおこってきます。

2)周辺症状

中核症状に伴ってありもしない物が見えたり(幻視)、聴こえたり(幻聴)、別の言葉に変えたり(錯語)、自分が 変わっていくことへの漠たる不安、あせり、悲しみ、怒りから暴言、暴行がおこったり、食物の区別がつかず食物以外の物を口に入れたり、失禁や不潔な行為、また性的な問題行動がでてきたりします。また性格や人格の変化がおこってきます。

2.認知症の診断について

記憶の低下、計算の低下などの比較的早期の症状の段階で記憶力、判断力の検査を行い、頭部のMRIを主とした脳の画像検査を受けることで診断されます。

また認知症とまぎらわしい他の疾患である水頭症、慢性硬膜下血腫や多発性脳梗塞などの疾患も区別して診断できます。また甲状腺機能低下症、うつ病、せん妄などの代謝異常、精神疾患や意識障害との区別も必要です。

 =以下次号=

平成25年3月  浦田 誓夫