H30.2月.3月号 院内報 天衣無縫 

=第247号平成30年2.3月号=

インフルエンザについて  本年1月下旬の段階で熊本県におけるインフルエンザの流行は拡大し、警戒レベルに達しています。

最近のインフルエンザの知見について述べます。

1 インフルエンザの症状

インフルエンザは突然の発熱が先行し、鼻汁、咳、頭痛、関節や筋肉痛が伴い、普通の感冒と比べて全身症状の強い感染症です。伝染は主に飛沫感染ですが、空気感染もあるとされており、伝染力は他の感冒のウイルスと比べて強力で発症後から治った後も一定期間の隔離(発症した翌日から5日間あるいは解熱した日から2日間(幼児では3日間))が必要です。

インフルエンザの発症は38℃以上が原則ですが、発熱の程度は年令とともに軽くなる傾向があります。インフルエンザワクチンの予防接種をしている場合はかかっても発熱や症状は軽くなると報告されています。

また人にかかるインフルエンザはA型とB型(まれにC型)がありますがB型は発熱や症状がA型より軽い傾向にあります。

インフルエンザの重大な合併症は肺炎と脳症で肺炎は高齢者に、脳症は乳幼児に多く合併し時に死亡する危険があります。日本では例年約1000万人がインフルエンザに罹患し約1万人の人(大部分は高齢)が多く肺炎で亡くなっています。

2 インフルエンザの診断

インフルエンザの診断は症状の項で述べたように38℃以上の発熱と感冒様症状(鼻汁、咳、のどの痛み)に加え強い全身症状(ふしぶしの痛み、頭痛、全身のだるさ)があることと、周囲の流行状況を勘案して総合的に診断します。

ただ、インフルエンザの流行期といえども発症の半分はインフルエンザ以外が原因であると報告されています。

インフルエンザの迅速診断テストは鼻やのどの粘液を採取してその場で迅速(約10分間)に判断でき、また感度はA型B型を問わずほぼ90~100%と高く簡便かつ有用なテストで診断の補助となります。

ただ迅速テストの感度が最大となるのは発症(発熱の始まり)から約12時間以降で、それ以前には感度が充分に高くなく陰性に出る場合がありますので場合によっては再検査が必要となることがあります。

3 インフルエンザの治療について

1)経口薬

オセルタミビル(タミフル)1日2回5日間内服します。

今シーズンより生後2週から1歳未満での投薬が可能となりました。それ以降の年齢については10歳から19歳ではタミフルに伴う異常行動の合併症の発生が解決されておらず日本だけですが投与はしない方が望ましいとされています。また、タミフルはAソ連型(H1N1)では耐性の頻度が高くなっていますがここ最近はAソ連型の流行はみられていません。またファビピラビル(アビガン)という他の抗インフルエンザ薬とは作用機序の異なる経口薬が開発されていますが一般に使用されず大規模な新型ウイルスの流行が発生した時にそなえて温存されており国の指示で投与可能とされている薬です。

2)吸入薬

ザナミビル(リレンザ)とラニナミビル(イナビル)共にドライパウダー式の吸入薬です。

リレンザは1回2吸入5日間ですがイナビルは1回で10歳未満に2吸入10歳以上で4吸入すれば治療は終了しますのでイナビルの使用機会が増えています。ただ一定の速さ以上で吸入する必要があり、乳幼児や高齢者では困難な場合があります。イナビルは吸入器(ネブライザー)を用いての自然呼吸で治験が進行中でまもなくネブライザーの液が使用できるようになると思われます。

3)注射薬

ペラミビル(ラピアクタ)は点滴注射薬で内服や吸入が困難な場合は第一選択となる薬です。

一日1回ですみますが場合により連日の反復投与が可能です。 以上の抗インフルエンザ薬はアビガンを除きノイラミニダーゼ阻害薬とされている薬でどの薬も同等に解熱期間を約一日程度短縮する効果がありますが、重症化の予防は否定的で充分な全身管理   (安静、補水、栄養、解熱)が必要です。 またB型はA型に比べ抗インフルエンザ薬の効果がやや弱いと報告されています。

4 インフルエンザワクチンについて

年齢別に6ヶ月以上3歳未満は0.25ml皮下注、2~4週の間隔をあけて2回、3歳以上13歳未満は0.5ml皮下注2回、13歳以上は0.5ml皮下注1回または1~4週の間隔をあけて2回の接種が推奨されています。感染予防効果は約50~70%と他のワクチンと比べてあまり高くありませんが、インフルエンザウイルスはワクチンの標的である抗原が変異しやすいのが理由です。

ただし、インフルエンザに感染してもワクチン接種をしていれば症状は軽くまた重症化を防ぐ効果があると報告されています。

また高齢者はインフルエンザワクチンのみならず、肺炎球菌ワクチンを接種しておくと、肺炎の合併防止効果があるとされています。

5 一般的な予防にいて

まずウイルスからの暴露をできるだけ避けるようにすることです。

患者さんの咳に伴うウイルスを含む飛沫は約2~10m四方に飛び散りますので、ます距離を保つ、患者さんは伝染力がある間は別室で過ごし、家族はできるだけ接触を避けることです。

マスク・うがい・手洗いはその予防効果は十分証明されてはいませんが、やはり心かげておいた方がよいでしょう。また室内の保温や保湿にも注意して下さい。

次いで、自身の抵抗力を高めることです。流行期は特に充分な睡眠や休息をとり疲労しないように、またバランスの取れた栄養を心がけましょう。  

浦田医院 浦田誓夫